<今回の登場人物>
 アルバイト女子大生 乙女莉菜(おとめりな)
 マーケティング会社代表 真毛多美雄(まけたよしお)
 マーケティング会社若手社員 若手祐一(わかてゆういち)
 顧問先の調味料会社 課長 味辺大蔵(あじべたいぞう)

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CM視聴者しか答えられない調査(1)
~チグハグな調査結果の傾向~


とある昼過ぎ@調味料会社打合せブース


 調味料会社 味辺課長
 「この前実施したテレビCMのクリエイティブ評価の調査結果だけど、この数字はどうやって
 傾向を読んだらいいんだろう???」
 マーケティング会社 若手社員
 「確かに気味の悪い数字ですね」

 
味辺課長
 「親しみを感じる24.0%、身近な76.0%、信頼感が持てる16.0%、安心できる72.0%って、
 まともな答えじゃないよね」
 若手社員
 「身近だけど、親しみを感じなくて、安心できるけど、信頼できない、そんなCMって???」


その日の夕方@テムズ・ミーティングルーム


大机にレポートを拡げ、悩み果てている社員の若手祐一

そこに次の作業の準備のために入ってきた
代表の真毛多美雄と女子大生アルバイトの乙女莉菜
若手・イカソーメン悩み

 真毛多
 「どうしたの若手くん、眉間のシワがイカソーメンになってるよ」
 乙女、相変わらずのつまらないギャグに
 「・・・・」
 若手
 「味辺課長から、他のリサーチ会社で実施したテレビCM調査のデータの相談をされて。
 CM評価のスコアにバラつきが大きくて、傾向が読めないんですよ」
 真毛多
 「調査設計書は見てるかな」
 若手
 「ええ、有効回収サンプル数600。トータルなら十分に読み取れる数字ですよね」
 乙女、割って入る
 「どれどれ、親しみを感じる24.0%、身近な76.0%、信頼感が持てる16.0%、安心できる
 72.0%、確かに傾向は変だけど。。。あれ、なんかこのスコアすべて4の倍数になってま
 せんか!」
乙女・4の倍数
 真毛多
 「鋭い!」
 若手
 「あ!」
慌ててもう一度、調査設計書を見る社員の若手

 
真毛多
 「アンケート上では、評価対象のCMを動画でなくて、静止画のコマワリで提示してるね」
 乙女
 「コマワリって、マンガのようなCMのストーリーボードのことね」
CMストーリーボード
 若手
 「ということは、調査の前に家庭などのテレビで、このCMを見た人しかクリエイティブ
 評価ができない」
 真毛多
 「はい。そのとおり!」

 
乙女
 「CMの認知率は4.2%、サンプルのN数でいうと600人中25人」
 社員の若手、肩を落として
 「25人によるCMクリエイティブ評価。。。そりゃスコアがブレる。。。なるほど4の倍数。。。」

 
真毛多
 「ほとんど、CMがオンエアされていなかったようだね」
 若手
 「そういえば、クリエイティブの評価が早く欲しいから、出稿途中で早々に調査をかけたと
 言ってましたね」

 
真毛多
 「味辺課長に、これからは、少ない出稿量のCMをクリエイティブ評価するときは、全員が
 回答できる『動画』でのCM提示にするようにアドバイスしておいて」

 
乙女
 「ほとんど見てない600サンプルより、全員見ている300サンプル!」

 
若手社員、苦笑い
 「参りました」

つづく。。。(vol.17へ)